「日本の名車 TOP page」
日本の名車
スズキ HUSTLER(ハスラー)(平成26年~(2014年~))

 「遊び」を取り入れた軽自動車を発売したSUZUKIさんに敬意を表する。
  今の時代に、「どのように使おうか・・」と考えさせられるクルマは珍しい。
   いや、どのようにでも使って下さいということなのか・・。
    クルマとしての基本性能、スペースユーティリティ、使い勝手はワゴンR以上。
     あとは、ユーザーがその価値を判断すればよい。
   

 ↑ノーマルのHUSTLER。デザイン的には下の写真のトヨタ・FJクルーザーを連想してしまった。中身はワゴンRに近くても、概観を変えるだけで、イメージは大きく変わるものである。
 まず、このサイト「日本の名車」に掲載するクルマたちは、人を惹きつける何らかの大きな魅力をもっているクルマたちである。良く出来たクルマであっても魅力がなければ掲載しないのであるから・・。

 さてこのハスラー、軽自動車初のSUV(スポーツ用多目的車)ということだが、私はランクル60という多目的四輪駆動車、スズキ・ジムニー三菱ジープなどのいわゆるオフロード四駆を愛用してきた人間であって、SUVなどという軟弱っぽい中途半端なクルマは本来は好きではない。このハスラーも、ノーマル状態のままでは、いつも行く川原に乗り入れることは躊躇してしまう。場所によってはフカフカの砂地があるため、ハスラーの4WDモデルでもスタックするだろう。また、休日によく行く林道は起伏が激しく、雨が降ると水流によってところどころに深くえぐれた溝が生じ、車高の低さゆえに床を擦ったり、場合によっては亀の子になる可能性がある。だから、少なくとも私にとってはハスラーはまだまだ多目的車とは呼べないシロモノである。

 しかし、このクルマに期待することは、ランドクルーザーやFJクルーザーやのような大型多目的四輪駆動車では実現できない小回り性能や経済性、ジムニーやジープでは実現できない広い室内空間やスペースユーティリティ、そしてワゴンRでは実現できない悪路走破性である。実際にそのようなニーズに合う軽自動車はこれまで存在しなかったが、ハスラーに少し手を加えることによって、そのニーズを満たしてくれそうな予感がしたのである。

私的な願いはオフロード性能アップ。
 ジムニーとの比較をもう少しだけしてみると、ジムニーはオフロード四駆として史上最強と言ってもよいほどのオフロード走破能力を持っているのであるが、室内空間が狭い、パートタイム式四駆のため雪解け道では気を使う、車重が重くて燃費が悪いなどの弱点がある。そこで、ジムニーほどのオフロード性能は要らないので、このハスラーをもう少しだけオフロードに耐え得るような足回りにしてもらえないかということである。そうすれば、私にとっては間違いなく多目的に使えるクルマに変身するのである。もう少しのところなので、たいへん惜しい。
 そこで、SUZUKIさんにお願いなのである。このハスラーを、真のSUV、いや、多目的四輪駆動車として使えるように、もう少しだけでよいのでオフロード性能を向上させてほしいのである。それには最低限、4WDモデルにのみ、それなりのタイヤを選択できるようにしてもらえればありがたい。
 ハスラーの4WDモデルには、軽自動車初のグリップコントローラーという優れたメカニズムを搭載しているので、これを凍結路面用と割り切ってしまうのは余りにもったいない。ちなみに、グリップコントローラーというのは、グリップを無くして空転する車輪にのみブレーキをかけ、グリップしているタイヤに駆動力を集中するものである。これは、オフロードでも生きてくるわけであるから。

主要諸元
HUSTLER Xターボ フルタイム4WD
全長×全幅×全高 3395×1475×1665mm
ホイールベース 2425mm
車両重量 870kg
エンジン形式 R06A型
エンジン種類 DOHC12バルブVVT
水冷4サイクル直列3気筒
インタークーラー・ターボ
総排気量 658cc
最高出力 64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク 9.7kgm (95N・m)/3000rpm
使用燃料 レギュラーガソリン
JC08モード燃費 25km/L
タイヤ 165/60R15

動力性能について
 SUZUKIの軽自動車は、主力エンジンがK6AからR06Aに順次移行してきた。このエンジンはフリクションロス、すなわちエンジン自体の内部摩擦が極力減るように設計されたものであり、各部品もそのほとんどが軽量化されている。もはや省燃費時代のエンジンである。ターボモデルの最大トルク値はK6Aよりも少し低めになっているが、そのぶん低回転からターボが作動する。
 また、発電にかかるパワーロスを低減させるエネチャージなどの技術によって、トータルでの動力性能は、往年のKeiワークスやラパンSSと比べて遜色はないと判断できる。車重はFFモデルならば820kgであり、ラパンSSより20kg重いだけであるため、充分に速いと思われる。
 4WDモデルでも870kgに抑えられており、現行ジムニーXCの1,000kgよりも圧倒的に軽量であるため、動力性能に不満が出ることは少ないだろう。なお、開発の主旨から考えると、4WDモデルが主力商品であると解釈できる。

カスタマイズについて
 左上の黄色いボディのカスタマイズはSUZUKIさんが東京オートサロン2014に出品したハスラーのカスタマイズモデルである。せっかくのSUVを乗用車ふうにカスタマイズしたものである。近頃はこういったカスタマイズがすぐ頭に浮かぶのであろうか・・・?自分の好きなようにカスタマイズするのだから、他人がとやかく言う筋合いはないが、これをするなら最初からラパン・ショコラでも買えばいいのである。
 もう一つ、東京モーターショーに出品されていたハスラーのクーペモデル。これはルーフを後端に向かって傾斜させたものだが、往年のクルマ好きが心を惹かれるのはデュアルエキゾースト(実際にそうなっているのか知らないが・・)である。ノーマルのハスラーをこのようにカスタマイズできて、5~6万円アップぐらいで済むのなら絶対に買いである。普通の軽自動車から一気にプレミアムなマシンに変貌する感じがする。SUZUKIさん、なんとかならないでしょうか・・。

 ↑トヨタのFJクルーザー。もはや日本の国土でコイツの実力を発揮できるシーンはほとんど無くなった。逆に、その巨大なボディゆえに、出先で駐車場探しに苦労する。
 ↑HUSTLERに、少し大きめのオフロードタイヤを履かせてみた。タイヤがクルマ全体のイメージに与える影響は極めて大きく、これで川原や砂地にも何とか乗り込めそうな雰囲気になる。

 ↑SUZUKI自体も、このHUSTLERに、ワゴンRとジムニーの間を埋める役割を与えようとしていることが伺える。

 ↑HUSTLERの4WDモデルに搭載されているグリップコントローラーの操作ボタン(一番左)。空転する車輪にのみブレーキを掛け、グリップしている車輪に駆動力を集中させることができる。
← カスタマイズされたHUSTLER。しかし、こうやって車高を下げて偏平タイヤを履かせ、ボディのデザインを変えるだけで普通の乗用車に変身してしまう。これではSUVの名が泣くのではあるまいか?
これは全くナンセンスなカスタマイズである。

 ↑モーターショーのみでのモデルだとされているHUSTLERクーペ。デュアルエキゾーストのリアビューはカッコイイ。

↑HUSTLERのリアビュー

↑キャンプ仕様のタープ

↑室内フロント部分。このパネルの色は、ボディがパッションオレンジ ホワイト2トーンルーフに限る。

↑室内の広さはワゴンRと同等

↑フロンシートはベンチシートふう

↑テーブル機能付きのインパネボックス

↑助手席座面下の収納ボックス

↑フロント&リアシートを使ったセミフラットシート。
リアシートも少しリクライニングする。

↑様々なシートアレンジが可能。
ラゲッジスペースの素材は掃除が楽である。

↑車内泊用のベッドクッション。
これで2人が寝ることができる。

↑オプションのキャンプ仕様。リアドアを利用した
タープと、窓にはメッシュ地のプライバシーシェード。


ハスラーの
 試乗インプレッション


 試乗できたのはノンターボ(自然吸気エンジン)の最上級グレードであるXの4WDモデル。アイドリングストップ機能付き、トランスミッションはCVTである。これに3名乗車し、一般道のみの走行を行った。
 ウインカーを点けて渋滞気味の国道1号線に合流。アクセルを静かに踏み込んで速度を上げるとき、エンジン回転数は思った以上に急上昇し、ウゥ~ンとエンジン音が室内に入ってくる。思わずアクセルを少し戻してしまったが、そのエンジン回転数のお陰で、4WDモデルに3名乗車の重い車体をスムーズに加速させてくれた。 

 ↑試乗したHUSTLER X 4WD(ノンターボ)
 ノンターボの4WD車の重量は850kgであり、これに大人3名が乗車したため、総重量は1,060~1,070kgぐらいになるのであるが、勾配の少ない一般道を走るぶんには特に不満が出ることはないと思う。ただ、加速時にはエンジン回転がけっこう上昇するので、それに慣れる必要はあるだろう。
 4WD車であってもターボエンジン搭載車であれば、低回転の2,000~3,000rpmぐらいでノンターボエンジンの2倍ほどの力を出してくれるため、エンジン回転数を抑えた状態で小気味良い加速をしてくれるはずである。約8万円ほどの上乗せでターボ車が買えるため、経済的に許されるのなら是非ともターボ車にしたいところである。
 試乗したノンターボ車の場合でも、いったん速度に乗ってしまうとエンジン回転数はかなり低く抑えられているようで、タイヤの走行音のほうが大きく、エンジン音はほとんど聞こえてこなかった。なお、ハスラーのタコメーターは、マルチインフォメーションディスプレイ中に設定されており、平均燃費、航続可能距離、エコスコア(CVT車)などと切り替えて使うことになる。したがって、平均燃費などを表示させていると、タコメーターは表示できなくなる。せめてタコメーターだけは独立させてほしいところである。
 信号待ちではアイドリングストップ機能が働くのであるが、エアコンのファンが中間的な強度で回っているときにはその音によってエンジンの作動状態はまったくわからない。加速時以外のエンジン音はそれほど静かであった。エアコンのファンを止めると、信号待ちからブレーキペダルを離した瞬間にエンジンスターターの音がし、エンジンが起動したことを知ることができた。
 さて、乗り心地であるが、これは良くできている。現行のスイフトのように、しっかりと引き締まっているとともに、細かな路面の凹凸も吸収してくれている。タイヤの偏平率が60%と、最近のクルマの中ではゴムと空気の量が多いので、それが功を奏しているのであろう。スポーツカーでもあるまいし、これ以上望むことは何も無いように思う。軽自動車は、新しい車種が出るたびにその進化に驚かされる。
 運転席からの眺めは、フロントウインドウの面積が小さいぶん、ダッシュボードの上面が比較的高い位置にあるため、包まれている感じで安心感につながった。カーナビを組み込んだ場合、視線移動が少なくて済むので、そういった意味でも良いのではないかと思う。上位グレードにはシートリフターが付いているので、前方下が見にくいというのであればシートを上げればよい。
 前席シートはベンチシートふうになっており、中央のアームレストを降ろして使うこともできる。シートの座り心地は、もうこれ以上進化の余地はないと思うほど良好である。これはどのメーカーのどの車種にも言えることであろうが、クルマの歴史が始まって以来、人間工学的に様々な角度から研究およびテストが繰り返されてきた成果だと思われる。
 後席の足元は広く、背もたれは2段階にリクライニングでき、けっこうくつろげる空間であった。最近の軽ワゴン車はどれも後席は広く、開放感も抜群である。そして、様々なシートアレンジが可能で大変便利である。一般的なセダンタイプの乗用車ではこういった多彩な使い方はできないため、そういった意味でもワゴンタイプのクルマの存在価値は非常に高い。
 ハスラーに特徴的なのは、荷室のフロア素材であり、汚れてもふき取りやすい材料でできている。反面、キズが付きやすいということにもなるが、そのような場合にはこの上に何らかのマットかジュウタンを敷けば良いであろう。
 その他、至る所に収納や小物入れがあり、日常的にこういったクルマを使用していると、たいへん重宝するだろうと思われる。旧来の3ボックスタイプの高級セダンではこうもいかないであろう。ワゴンタイプのクルマ、特に軽ワゴンががよく売れる理由が分かるような気がする。


どのタイプのハスラーが良いのか

 ハスラーに試乗したあと、スズキのスペーシア・カスタムがあったので、運転はしていないが室内に乗り込んでいろいろと比較してみた。スペーシアはルーフが高く、床面やシート高はハスラーよりも低い。そして、リアがスライドドアになっている点が大きく異なる。また、スペーシア・カスタムのノンターボ車4WDの車重は930kgもあり、ハスラーよりもおそよ80kgほど重い。この重さの原因は、ルーフが高くてガラス面積が大きく、後部スライドドアが電動式であることがあげられる。この重いスペーシアを満足に走らせるためにはやはりターボエンジンが必須となるであろうし、ターボエンジン車はこれに20kg増しの950kgとなる。
 スペーシアとハスラーの選択を迷う向きもあるであろうが、スペーシアのメリットは後席への乗降のしやすさである。床面やシート高が低く、それなのにルーフが高いために、上半身をかがめなくても乗降できるのである。この乗降のしやすさはタクシーなどのセダンタイプの乗用車ではとうてい実現できない贅沢な寸法である。身体的にハンディを負った高齢者などを後席に招く必要があるのであれば、これは圧倒的にスペーシアにメリットが出てくる。しかし、後席にそのような人を乗せないのであれば、車重の増加、走行時の空気抵抗の増加、横風の影響の増加、燃費の悪化などを考慮すると、運転席頭上に有り余る空間などは無くてよいという気になる。すなわち、一般的な使用においてはハスラーの各種寸法のほうが合理的であるという結論になる。
 そうなると、同様の各種寸法と車重を持つワゴンRとハスラーとの選択を迷う向きも出てくるだろう。両者が違うのは、コンセプト、デザイン、悪路走破性である。これは4WDモデルを選ぶとき、ハスラーだけがもつグリップコントローラーが最大の武器となる。これは白ナンバーの4WDモデルでもごく一部のクルマにしか装備されていない贅沢なメカニズムである。従って、上述したように、ワゴンRとの差別性をもっと大きくするためには、ぜひともタイヤの選択肢を増やしてほしいわけである。
 ワゴンRもハスラーも、FFモデルのみを対比した場合には、両者で大きく違うのはコンセプトとデザインだけという感じである。ハスラーの最低地上高のほうが少し高いため、雪道などでは少し有利になるシーンがあるかもしれないが、重心が高くなる分、コーナーリング時の安定性はワゴンRが有利となる。しかし、クルマをファッションととらえるのであるのならば、あとは好みの問題であろう。


もし自分がハスラーを所有するのなら


 せっかくなので、グリップコントローラー(スズキさんはなぜかグリップコントロールと呼んでいる)を持つ4WDのターボ車を選択するだろう。そして、タイヤはノーマル品の165/60R15よりも1サイズだけアップした175/60R15あたりのタイヤを履かせて少々武装してみたい。
 その他は、やはりタコメーターとターボのブーストメーターはぜひ欲しいところである。新型エンジンのR06Aのブーストアップについてはあまり調べたことはないが、旧来のK6Aターボエンジンよりも最大トルクが小さい、あるいはホンダの軽ターボエンジンよりも最大トルクが小さいのは少し許し難い(^^;)ので、ちょっぴり超えてみたい気がする。そうすることで、かけがえのない多目的四輪駆動車になり得ることと思われる。

↑1サイズアップの175/60R15

サイトナビ・便利リンク集 stnv.net(ノーフレーム版) stnv.net/jp/(フレーム版)
「日本の名車 TOP page」