捻挫


捻挫(ねんざ)とは
・挫き(くじき)とも呼ばれる。
・関節に関節の許容範囲外の動きが与えられたためにおきる損傷の一つである。
脱臼を起こした後にすぐに自然整復したものも含まれる。
・多くは関節周囲の軟部組織、例えば関節包や靭帯の損傷を伴い、患部に熱感、腫脹、痛みなどの
 炎症症状が発生する。
・靱帯損傷が確実な場合は、医学用語としては○○靭帯損傷と呼ばれる。
・靱帯が伸びたという場合、靱帯を構成する微細な線維自体はいろいろな場所で断裂しており、部分
 断裂と呼ばれ、ゴムの様にすぐに縮むことはない。
骨折や靭帯断裂を伴う事があり、正確な診断は整形外科専門医を受診してMRI検査などを受ける
 必要がある。(放置すると運動障害や関節の軸変形につながることがある。)

捻挫の手当と治療
・捻挫治療としては、とりあえずすぐにRICE処置を行う。
 Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)
  ①患部を挙上し、安静にする
  ②すぐに冷却を10~15分行う。
   (急性期の炎症反応を抑制することは治療を早めるために重要。)
  ③弾性包帯などを巻いて圧迫する。
  ④医療機関に搬送し、固定を行う。
  ⑤最初の冷却終了から45~50分後にまた冷却を行う。
   (冷却をやめたあとは、その反動で冷却前よりも温度が上がる。いわゆるリバウンドである。
    2回目は1回目よりも緩やかに冷却し、リバウンドを徐々に収束していくことが重要である。
    これはその他のアイシングでも同じことである。)
足首の捻挫の場合、固定するおおよその期間
  ◆軽度の捻挫(内出血や腫れが少なく、痛みは感じるが歩行が可能な状態)
     固定期間 : 10日から2週間
  ◆靱帯部分断裂を生じた捻挫(内出血や腫れが顕著で、歩行も痛みにより困難な状態)
     固定期間 : 3週間から4週間
  ◆重度の捻挫(靱帯の完全断裂や骨の剥離骨折または不全骨折などを伴う、歩行は不能)
     固定期間 : 1ヶ月以上(ただし、機能的装具というものを装着し、固定期間を短くする傾向
              にある。靱帯断列の場合、特に運動選手などで復帰を早めたい場合は手術
              によって靱帯形成術や靱帯縫合術が行われることもある。)
・固定の期間は、損傷した組織が十分回復し、関節補強の為の筋力がつくまでの間であり、一般的
 に関節構成組織の修復には長期間を要する。ただし、必要以上の固定はその後の関節の可動
 域低下を招く恐れがあるので注意が必要である。


靱帯断裂の場合
・靱帯の断裂など、重度の靭帯損傷を伴う
 場合には、ギプス固定治療も可能ではあ
 るが、特に運動選手などは手術によって
 靱帯形成術や靱帯縫合術が行われる事
 が多い。(膝や足首など荷重がかかる関
 節は手術の適応となることが多く、指や
 肘は自然治癒に任せることが多い。)
・膝前十字靱帯などの関節内靱帯は、血
 行が非常に悪い部分でもあり、自然治
 癒することはほとんどないため、外科的
 な手術で再建することが標準になって
 いる。(スポーツ現場への復帰の場合、
 およそ半年~1年を要する。)
・膝内側側副靱帯などの関節外靱帯は
 比較的修復能が高いとされ、自然治癒
 に任せることが多い。
・膝の捻挫の場合において、修復能の高
 い順を記せば、次のようである。
  関節外靱帯 > 関節内靱帯 >
   半月板 > 関節軟骨
 すなわち、関節軟骨の早期修復は期待
 しない方が良い。

Anterior Cruciate Ligament; ACL;前十字靱帯
脛骨が前方へ変移する(ずれる)ことを防いでいる。
・上述したが、関節構成組織(靱帯、半月、軟骨、関節包など)の治癒は長期間を必要とし、脱臼
 ページでも述べているが、修復の過程が完全に終了するまでには数年を要することもある。しかも、
 完璧に元通りにはならず、瘢痕組織(膠原線維が多い結合組織)に置き換わってしまい、関節の強
 度は低下してしまうことが多い。
・結論として、起きてしまったら仕方ないが、関節の故障は起こさないように十分に注意することが
 先決である。


<関連リンク>
  骨折  脱臼  痛みとは  鎮痛薬まとめ

2012年11月更新  stnv基礎医学研究室・清水隆文

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