老化を遅らせる方法


<老化を遅らせる その1>
摂取カロリーを適度に制限する
空腹が体を若返らせる

 まずはじめに:「制限」とは「減らす」ことではない。ある一定の範囲を超えて摂食しないということ
    である。そして、ましてや「ダイエット」することでもないし、「痩せること」と同義ではない。
    太っている人は痩せなければならないが、痩せている人は適度に筋肉を付けなければなら
    ない。その人に合った理想体重を維持した上で、無駄な摂食をしないということである。
 機序:
    ①カロリー制限は寿命を延長させる遺伝子群を発現させるようであり、多方面から研究
     されつつある。栄養状態が良くなるまで体を温存しようとする自然の摂理であると推定され
     ている。
     (カロリー制限、特に糖質制限によって機能を発現し始める遺伝子の例としては、DAF-2、
     AGE-1、SIR-2などが見出されており、これらは損傷したDNAを修復する機構に関係する
     遺伝子であり、すなわち抗老化および寿命を延ばす遺伝子でもある。)
    ②空腹時には胃からグレリンというホルモンが出て、下垂体からの「若返りホルモン」とも呼
     ばれている成長ホルモンの分泌を亢進させるため、壊れた細胞などの修復が速く進む。
    ③空腹などのストレスは、生体中のタンパク質の変性を抑制してくれるシャペロン(主に熱シ
     ョックタンパク質[後述])を多く誘導してくれる。
    ④ある程度の空腹期間が存在することのほうがむしろ自然なのであり、その期間中には体
     に蓄えた脂肪などが燃焼し、同時に異物や毒物の処理も進む。
     (生物全般において、過食よりも空腹に対する耐性が高い(例:血糖値を上げるホルモンや
     そのメカニズムは多種類存在するが、血糖値を下げるホルモンはインスリンだけである)。
    ⑤過食は体内での処理が追いつかなくなり、血液が汚れ、多くの疾患の原因になる。また、
     食事の間隔が常に短いと、腸内細菌叢にも悪影響を与える。
    ⑥肥満になると脂肪細胞からのアディポネクチンの分泌量が減り、糖利用の減退、インスリ
     ン抵抗性の進行、動脈硬化の進行が起こりやすくなる。
 コツ:1日のうちで空腹である時間が存在することが大切であり、空腹が体を若返らせる。したがっ
    て、お腹が空いたといってすぐに間食をしないこと。
     日常的には、体重や体型の変化を見ながら、太らないように食べる量を調節する。その気
    になれば、プチ断食、あるいは1週間程度のプログラムの断食をするのも良い。
 注意:未成年のカロリー制限については一考の余地あり。この時期には各種の栄養素をバランス
    良く摂取することが大切である。
     大人の場合、痩せ過ぎの人も疾患にかかる率が高く、寿命も短い傾向がある。


<老化を遅らせる その2>
砂糖(ショ糖)を摂取しない
 理由:近年、体内の余分な糖(特にフルクトースやガラクトース)は、体を構成しているタンパク質
    や脂質に結合し、これが老化を促進するのだと言われている。糖質はデンプンの形で摂取
    すればよく、あえて砂糖を摂取する必要は更々無い。
 補足:どこかのTV番組では、血糖値がすぐに上がらないようにするためには先に野菜類を食べ
    れば良いなどと言っているが、胃の中では30分以上撹拌されて砂糖も野菜も同時に十二
    指腸に流れ込む。何を最初に口に運ぶかのそんな短時間の時間差などは無意味である。
    胃や腸の中に野菜や果物の食物繊維や分解酵素が入っていることが重要なのである。
     余談ではあるが、上記の反応を「糖化」など、化学的な定義から外れる使い方を平気でし
    ている「アンチエイジング業者」にもご注意を。「糖化」とはデンプンなどを加水分解して「糖」
    を生成させることを言う。タンパク質などに糖が結合する現象は『糖化反応』と呼ぶ。


<老化を遅らせる その3>
パンなどの小麦製品を摂取しない
 理由①:特にパンやケーキ類に使われている小麦のデンプンは、消化が良すぎて消化管内で
    すぐにブドウ糖にまで分解されるため、砂糖(ショ糖)よりも血糖値の上昇が速い。その分、
    糖化反応が多く起こってしまう。
 理由②:一般に出回っているパンなどに使われている小麦粉は、遺伝子組み替えによって大幅
    に収量増加を果たした小麦から作られているが、その小麦に含まれているタンパク質であ
    るグルテンには様々な害作用がある。
     その一つは麻薬様作用である。グルテンが消化管内で分解されて生じるペプチドのなか
    には、脳内のオピオイド受容体に結合するものがあるようである。一般には「エクソルフィン」
    と呼ばれている。これは陶酔効果をもたらすために、小麦製品を食べると快感を感じ、さらに
    は依存性があるために止められなくなるのである。
     二つ目は、グルテンが分解されて生じるペプチドのなかには消化管上皮細胞間隙を広げて
    しまうものも存在するようである。すると、本来は吸収してはいけないようなタンパク質をも通
    過させてしまい、これがアレルギーやアトピー性皮膚炎、様々な自己免疫疾患につながると
    言われている。病は老化を促進することになる。


<老化を遅らせる その4>
必要な栄養素を必要量だけ摂る
 補足:特に高齢期においても、大豆や小魚などで必要なタンパク質や油脂類を積極的に摂ること
    が重要である。これは、高齢になれば菜食的な内容(野菜や穀物のみ)で良いといった一般
    的認識が多いようなので、決してそんなことはないという話である。
     大豆には特にポリアミン(第一級アミノ基が3つ以上結合した直鎖脂肪族炭化水素の総称)
    が多く含まれており、これを発酵させた納豆や味噌には更に多くのポリアミンが含まれ、これ
    が老化を遅らせると言われている(特に抗炎症作用が期待されている)。
     また、油脂類としては、αリノレン酸(亜麻仁油、シソ(エゴマ)油に多い)、EPAやDHA(海産
    魚類に多い)を摂ることが重要である。逆に、いわゆる動物性の中性脂肪(その多くは常温
    で個体のトリグリセリド)コレステロールはなるべく摂らない方が良い。なぜなら、これらは
    必要に応じて自分の体内で合成するものであって、外部から摂取するとその処理に手間取
    るだけでなく、処理しきれなかった分が体内に蓄積することになる。また、マーガリンなどの
    加工した油脂類はトランス脂肪などの副産物が含まれている可能性が高く、また脂肪酸組
    成としてαリノレン酸などのω3系の含有比が少ないため、食べない方が良い。
     食材は、できれば小魚のように頭から尻尾まで、大根のように葉っぱから根っこまで食べ
    られる食材を優先する。米はできれば玄米。ただ、そのように全体を食べられる食材は多く
    ないため、なるべく多品目(マゴワヤサシイ:マメ、ゴマ、ワカメ、ヤサイ、サカナ、シイタケ、
    イモ)を食べることで、栄養素の過不足を最小限にとどめる工夫をすれば良いだろう。
     必要により市販のサプリメントも活用するのが良い。特に日本の食事情でどうしても不足
    しがちであるといわれている成分の補給は大切であろう(例:マグネシウム水溶性ビタミン
    など)。


<老化を遅らせる その5>
抗酸化物質を摂取する
 機序:体内で生じた活性酸素などのフリーラジカルは、DNAや細胞膜などを傷つけ、老化やがん
    化を促進すると言われている。
    抗酸化物質の例:ポリフェノール類、カロテノイド類、ビタミンC、メラトニンなど。
    ポリフェノールはほとんどの植物に含まれ、色素、渋味、苦味成分であり、5,000種類以上
    に及ぶ。
      <ポリフェノール類の例:カテキン類(緑茶など)、フラボノール類(タマネギ、レモンなど)、
       フラバノン類(パセリ、柑橘類など)、アントシアニジン類(ブルーベリー、赤ワインなど)、
       スチルベン(赤ワインなど)>
    カロテノイドは天然に多く存在する色素である。
      <カロテノイド類の例:βカロテン(カボチャ、ニンジンなど)、リコペン(トマト、柿など)、ルテ
       イン(緑黄色野菜、卵黄など)>


<老化を遅らせる その6>
有害物質や薬を過度に取り込まない
 補足:タバコは有害物質の宝庫であり、病気のリスクを上げ、老化をも促進すると言われている。
    過度の飲酒は、脳の前頭葉上部の中前頭回を萎縮させるとの報告あり。
    アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドが食道癌の大きな原因であるとの報告あり。
    抗生物質や消毒薬は常在細菌叢を乱す。
    空気や水のきれいなところに住む方が良い。
 注意:清潔にし過ぎる(常在細菌を除去する)と、逆に抵抗力や免疫力が低下する。
     皮膚には表皮ブドウ球菌などの常在細菌が住み着いており、体表から出た皮脂や老廃物
    などを分解してくれたり、他の病原微生物が繁茂することを防いでくれている。従って、常在
    細菌を殺菌したり減らしたりすることは良くない。これは鼻腔や消化管においても同じことで
    ある。


<老化を遅らせる その7>
42℃以上の熱い風呂に入る
 機序:熱ショックタンパク質(ヒートショックプロテイン;Heat Shock Protein;HSP)が増える。
    (これは近年ではシャペロンと総称されているタンパク質の一種である。(シャペロンとは、タン
    パク質が熱の影響や、酸やアルカリなどの影響によって高次構造が変化しそうな場合、その
    変化を抑制したり修正したりする役割を持った分子の総称である。)
     熱ショックタンパク質は高温によるタンパク質変性だけでなく、紫外線による様々なダメージ
    から生体中のタンパク質を守る働きもあるようである。皮膚では紫外線によるコラーゲンの変
    性が抑制されてシワができにくくなり、同じく紫外線によるシミなどもできにくくなるようである。
 補足:熱ショックタンパク質は、熱い風呂などで高温に曝された場合以外にも、紫外線、活性酸素、
    重金属、アルコール、細菌感染症や炎症、低酸素状態、飢餓などの様々なストレッサーによっ
    て誘導されることが知られている。これらのストレスの中で、比較的に危険性の少ないのが熱
    い風呂だと解釈すれば良いであろう。
     42℃のお風呂はけっこう熱い。しかし、もっと熱いのが好きで43℃以上にして入浴している
    筆者の妻は、同年代の他の女性と較べてたしかにシワは少ないし、体調不良などは皆無で
    ある。
 注意:心臓や血管などの循環器系に疾患や不具合のある方は決して無理をしないようにしてくだ
    さい。急激な温度変化にならないよう、低温(冬場の脱衣所)にも充分注意してください。


<老化を遅らせる その8>
適度な運動をする
 機序:使い続けることで廃用性萎縮を防ぎ、若い頃の状態を保つ。
    適度な運動は、寿命を延長させる遺伝子群を発現させるとも言われている。
 注意:スポーツ選手のような過度の運動は逆効果である。心拍数的には、「170-年齢」の数値、
    例えば50歳ならば、170-50=120、すなわち最大心拍数が120を越えるような運動は避けた方
    が良いであろう。
 補足:高齢になるほど筋力アップトレーニングは重要である。
    運動をすると発生する活性酸素の量も増えるであろうが、活性酸素除去能力も上がる。
    高齢女性の場合、骨密度を維持するためにも適度な運動は特に重要である。


<老化を遅らせる その9>
紫外線を浴び過ぎない(日光は適度に浴びることは重要)
 機序:紫外線は、皮膚を構成しているタンパク質(コラーゲン繊維)を変性させ、皮膚の老化を促進
    する。さらに強度の場合、DNAに損傷を与え、皮膚癌を発生させる。
 補足:紫外線の人に対する有用な作用としては、ビタミンDの合成(週に2回、5分から30分程度の
    日光浴で充分)や、熱ショックタンパク質(上述)の産生を促して皮膚や全身の新陳代謝や
    抵抗力を亢進させるなどの作用がある。
     一方、紫外線ではなく「日光」の有用な作用としては、体内時計を調整したり、うつ病などの
    精神的な障害を予防する働きがあると考えられる。
    従って、紫外線は良くないが、日光は適度に浴びるのが好ましいということになる。


<老化を遅らせる その10>
交感神経と副交感神経の適切なバランスを維持する
 補足:交感神経とは「闘争か逃避か」を迫られるようなときにその活動が最高となり、活動できる
    体の状態にする神経系である。交感神経が直接、次に副腎髄質からアドレナリンなどのカテ
    コールアミンが血中に放出され、やがて副腎皮質からコルチゾルなどの副腎皮質ホルモン
    が放出される。
     副交感神経はその逆であり、体を消化・吸収・修復モードにする神経系である。どちらかが
    長く続きすぎてはダメであり、活動と休息の配分を適切にすることが大切である。
 参考:交感神経優位・・・・・・血管収縮→血流障害、血圧上昇。リンパ球減少→免疫力低下。
                  顆粒球増加→各種炎症増強、活性酸素で組織破壊。
     副交感神経優位・・・・リンパ球増加→アレルギー性疾患増加
                  深呼吸でゆっくり息を吐くときに副交感神経優位になる(心拍数も下
                  がる)

<老化を遅らせる その11>
適切な睡眠をとる
 補足:夜中の1時~2時あたりが中心になるように7~8時間寝ると、太陽の動きと体内リズム
    (概日リズム)がうまく同調し、体の諸機能が正常に動く。
    寝不足や寝過ぎは糖尿病、高血圧、肥満を誘発しやすい。
 コツ:寝る前に青白い光を見ないこと。赤色の光を見ることで眠りの準備に移る。
    昼間を活動的に過ごし、就寝3時間前までに運動、入浴、唐辛子の摂取などを行うことに
    よって脳温度を上げておく。
    どうしても眠りが浅い場合は睡眠薬ではなく、メラトニンを摂取。


<老化を遅らせる その12>
悪いストレスを極力避け、受けたならば早期に発散する
 機序:精神的に落ち込んだり疲労困憊するようなストレスは、長期化することにより心身を蝕み、
    さまざまな病気の元になる。交感神経優位が続くことになる。
 コツ:鈍感力、プラス思考、前向きな姿勢が大切。
    怒りは内側に閉じこめるよりは思いっきり表す方がマシ。
    映画などで涙を流すことも効果的であるが、自分から積極的に何かを行うものの方が効果
    的である。


<老化を遅らせる その13>
ワクワクする(良いストレス)。目標を持つ。楽しむ。笑う。
 補足:若く見えると言われる人は、幅広く知的な活動を継続していることが多い。
 機序:良いストレスがかかると、悪いストレスを背負いにくくなる。
    自分はこのへんで終わりだろうと思っていると、それが遺伝子の発現に反映する。
    笑うことで免疫力が向上するという報告は多い。


<老化を遅らせる その14>
若い頃のような恋愛を、適度にする
 機序:予期される生殖行動に備えて、体はその準備をし、すなわち機能を温存する。
    性ホルモンの分泌量も保たれ、更年期障害軽減につながる。
    若く美しくありたいとする気持が体をそのように変える。
    脳からの指示が無くなれば肉体も衰える。
 注意:恋煩いは避けること。恋煩いは、飢え、咽喉の渇き、薬物への渇望に近い。


<老化を遅らせる その15>
不必要に体を冷やさない
 補足:低体温の場合、代謝速度が遅くなるので、老化速度が遅くなり寿命が延びるのだという報
    告はある。また、カロリー制限を行うと体温は下がる可能性がある。
 理由:しかし、体が冷えると各種の酵素の働きが悪くなり、臓器や組織が正常に働かなくなる。
    冷えると交感神経が優位になってさらに体を冷やすことになる。また、免疫力は体温低下に
    伴って低下するとされている。従って、冷やさないことは大切であろう。
 コツ:熱の主な発生源は筋肉であり、筋肉量を増やし、運動をすることである。
    風呂でゆっくり暖まることも必要。
    南国で採れるものや水分の多いものは体を冷やしやすいと言われる。
    土の中で採れるものは体を温める。
 注意:ただし、暖房に頼りすぎて、自律神経の働きを鈍らせないこと。


<老化を遅らせる その16>
ストレッチをする
 機序:ストレッチによって筋肉が引き伸ばされると微細なレベルで筋線維の損傷が起こる。これを
    修復するためにコラーゲンの生合成が活発になり、これは全身にわたるコラーゲン生合成に
    まで影響し、肌を含めた全身を若返らせることにつながると言われている。
 捕捉:また、筋肉は伸ばさないと萎縮する。
     動かさないとリンパ液が溜まって膨らんで凝りとなる。


<老化を遅らせる その17>
指圧、マッサージを取り入れてみる
 補足:押して特に痛いような(反応のある)皮膚の箇所を指圧したり、リンパの流れ(およそ静脈の
    流れと同じ)に沿ってマッサージする。
 機序:指圧などは神経系に適度な刺激を与えて、眠りそうになっている機能を呼び覚ます。
     マッサージはリンパ液の流れを良くする。リンパ系には、血液を流す心臓のようなポンプが
    無い。運動して筋肉を収縮させるか、あるいはマッサージして外部から強制的に押し流すと
    良く流れる。流れることによって老廃物の排除と必要物質の補給が速やかに行われる。


<老化を遅らせる その18>
病気をしない。健康体を維持する。
 理由:病気によって衰えた機能は回復しないことがある。
    臓器の場合、部分的な欠損から回復できるのは、肝臓、皮膚、血液のみであり、その他の
    臓器の回復(再生)能力は次のようである。
      全く再生能力の無いもの:心臓、腎臓、脳細胞、肺、歯
      基本的には再生しないもの:胃や腸などの消化管
      再生能力が乏しいもの:膵臓、神経系
      部分的に再生するもの:骨(骨折時)、血管網(創傷治癒やがん成長の場合など)
    うつ病の人では、脳の両側上前頭回と中心前回で萎縮が見つかるという報告あり。
    投与される薬は異物であり、さまざまな副作用が体を蝕む。


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2013年3月 更新
stnv基礎医学研究室・清水隆文


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